お取り扱い商品について

一つの食べものを選ぶことは、その向こうにある土を、手を、風土を選ぶことであると、わたしたちは考えています。

MINORI FOODSCAPEのサイトに並ぶものは、わたしたちが生産者に会い、田畑やものづくりの現場を訪ね、お話を伺って確かめてきたものです。ここでは、わたしたちの目線=「食へのものさし」を包み隠さずお伝えします。

1. すべてのみなもと、土のこと — 栽培のものさし

わたしたちの中心にあるのは、農薬や肥料に頼らず、自然にゆだねて、土の力を信じて育てる「自然栽培」の野菜・果物・お米です。

野菜の育て方を表す言葉には、国の制度に裏づけられたものと、そうでないものがあります。「有機」「オーガニック」と名乗れるのは、法律にもとづく有機JAS認証を受けたものだけ。いっぽう、よく目にする「無農薬」という表示は、土壌に残った成分や隣の畑から風で飛んでくる農薬まで一切含まない、という誤解を招きかねないことから、農林水産省のガイドラインで使わないこととされています。

わたしたちは、このことを踏まえて、それぞれの作物に次の言葉を使い分けています。

■ 自然栽培
農薬だけでなく、肥料は化学肥料はもちろん、有機肥料も使わずに、土の力と作物自身の生きる力で育てる方法です。落ち葉や草が土に還り、微生物が耕す。山の土が何もせずとも豊かであるのと、おおむね同じ理屈です。ただし自然栽培には、国の認証制度も法律上の定義もありません。だからわたしたちは、この言葉を軽々しく使いません。生産者の畑を訪ね、育て方を直接確かめたものにだけ、この表記をしています。

■ 有機栽培
有機JAS認証を取得した生産者・商品にのみ、この言葉を使います。種まきや植え付けの2年以上前(果樹などは収穫前3年以上)から禁止された農薬・化学肥料を使っていない畑で育て、登録認証機関の検査を受けたものだけが名乗れる、法律に裏づけられた表示だからです。なお、有機JASでは天然由来のものを中心に、やむを得ない場合に使用が認められた農薬があります。「有機だから農薬ゼロ」とは限らない。そのことも含めて、正確にお伝えします。
また、認証と同じか、それ以上に厳密な育て方をしながら、あえて認証を取らない小さな生産者もいます。その場合わたしたちは「有機」の言葉を借りず、自然栽培や栽培期間中農薬不使用など、畑で確かめた事実をそのまま表記します。

■ 栽培期間中農薬不使用
その作物を育てている期間、農薬を使わずに栽培されたものです。「無農薬」と書けばシンプルですが、わたしたちはあえてこの長い言葉を使います。生産者がどれだけ丁寧に育てても、土に昔から残る成分や、隣の畑から風にのって届くものまで、ゼロだと証明することは誰にもできないからです。証明できる範囲を、証明できる言葉で表記する方針です。

■ 特別栽培
その地域で慣行的に使われる量に比べて、対象となる農薬の使用回数と化学肥料(窒素成分量)をどちらも5割以下に抑えて栽培された農産物です(農林水産省ガイドラインによる定義)。栽培品目によってはどうしても農薬に頼らざるを得ない品目が存在します。その努力、手しごとへの敬意という意味でも、安易に切り分けられないものであると考えています。

言葉遣いによって、価値を大きく見せることはせず、それぞれの商品ページには、その作物がどう育てられたかを、なるべくそのままに書いています。

何より、栽培方法以上に、その味の向こうにある手しごとに、ぜひ思いを馳せていただきたいと思っています。

2. 育ち方のこと — 肉・魚・卵・乳製品のものさし

いのちあるものは、どう育ったかを確かめてお届けします。

卵は、鶏舎の地面を自由に歩きまわる平飼い・自然養鶏のもの。飼料や水はもちろん、雛から育てることを大事にされている生産者の卵をお届けしています。

牛や豚は、広い土の上で暮らす放牧のもの。牛乳や乳製品は、搾りたての風味を守る低温殺菌・ノンホモジナイズ製法のものです。

魚は、人が育てるものではなく、「海が育てる」もの。だから魚のものさしは、天然であること。そして、どんな海で、どんな獲り方をされたか、海の資源や漁場に大きな負荷をかけない獲り方であるか、です。そのうえで、その時季の海がいちばんおいしくした旬の魚を、獲れたぶんだけお届けします。何が届くかは、その年、その時季、その海しだい。それが、いちばん誠実な海との付き合い方であると考えています。

総じて、「早く、大きく、均一に」と反対側にある、”いのち”に重きを置いた育て方を、わたしたちは大切にしています。

3. つくり方のこと — 加工品のものさし

味噌、しょうゆ、酢、塩、パン、ジュース、アイスクリーム。加工品は「何を足したか」ではなく「何を足していないか」をものさしにしています。

食品添加物に頼らないこと。そして、素材と時間と微生物のしごとに委ねる、昔ながらの製法であること。

長い熟成を経た発酵食品、天然醸造のしょうゆ、天日と大潮で仕込む塩、薪窯で焼かれるパン。自然のままの果実をそのまま搾ったジュース。原材料表示が、驚くほど短いものばかりです。

その根底にあるのは、必要以上の日持ちや広域流通を求めないことが、結局のところ、旬を大切にすることにつながる、という考えです。

4. 旬のこと — 「いつ」のものさし

「なにを」だけでなく、「いつ」も、わたしたちのものさしです。

いちばんおいしい瞬間は、旬のただなかにあります。だから月替わりのMINORI BOXは、その月いちばんの実りだけで組みます。

ハウスで季節を先取りするのではなく、畑の時間に、食卓を、暮らしを、生き方をあわせる。品目を選ぶことと同じくらい、自然のリズムを選ぶことを大切にしています。

(収穫からお届けまでの考え方は、鮮度ポリシーについてにまとめています)

5. つくり手のこと — 商品より先に、人に会う

わたしたちは、商品より先に、人に会います。

100軒を超える小規模生産者。その畑を訪ね、土に触れ、なぜこの育て方、つくり方なのかに耳を傾ける。

栽培や製法のことだけではなく、その人が、この土と土地を、次へつなごうとしているかどうか。

大きく、速く、の外側で営まれる小さな農は、効率で測れば分の悪いしごとかもしれません。

しかし、小さな畑が支えているものは、収量だけでは測れません。

多くの品目を少しずつ育てる畑は、その土地の品種や種、生きものの多様さを抱える器になります。手入れの続く田畑は、雨水を蓄え、土の流出を留め、水と地面を静かに支えます。そして畑がひとつ続くことは、そこに結びついたしごとや祭り、食の記憶 —— 土地の文化が、この先へつながっていくということです。

わたしたちは、そうした生産者と、長く続く関係を願ってお付き合いしています。

「土さえ大事にして、汚さずに守っていれば、孫もひ孫も、まったく同じ味で感動できる」 — わたしたちの取り組みは、この言葉への感動、敬意からはじまりました。

ひと箱の旬の実りをいただくことは、この畑と風景と想いが続いていくことに、そのままつながっています。食べることを通じて、誰もが、風景をつくり、つないでいくことに関わることができる。 それが、MINORI FOODSCAPEがもっとも伝えたいことです。